スイングバイ現象
動く列車に向かって完全弾性体のボールを投げたと仮定してみましょう。そして列車の質量は非常に大きいため、列車の質量に比べると、ボールの質量は無視する程度だと仮定しましょう。
この時、列車の速度を「U」、ボールの速度を「V」といえば、ボールは列車とぶつかりながら2U + Vの速度で出てきます。 (もちろん、現実には、エネルギーの損失のために速度が完全に出ませんが、一応理論上そうです。)
この場合、ボールは、列車の運動エネルギーの一部を取得し、速度がさらに速くなっています。
逆に、遠ざかる列車に向かってボールを投げた場合、衝突後ボールの速度は、さらに小さくなります。
このように、より大きな相手から運動エネルギーを取得または失ってしまう現象を「スリングショット効果(sling shot effect)」または「スイングバイ(swing by)」と呼びます。
野球のボールをバットで打って、高いスピードを得ることもスリングショット効果の一例です。
宇宙船が大きい惑星の重力を利用して、より速い速度を得ることも、同じ原理であり、特に「重力ターン(重力アシスト、Gravity assist)」と呼びます。